- 2026年8月17日
- 2026年8月18日
日本初開催!ビュテイコ呼吸法の国際資格講座|世界55カ国3000人以上が学んだ科学的呼吸法が日本初上陸
「呼吸が体にいい」ということは、多くの人が知っています。
けれど、目の前の人の呼吸を見て、その人に合った方法を選び、安全に伝えられる人は、日本にはまだほとんどいません。
2026年7月、東京で3日間の集中講座を開催しました。
世界55カ国以上でインストラクターを育ててきたビュテイコ呼吸法の国際資格講座(CertBBM)が、日本語で開かれた最初の機会です。
医療職からヨガ指導者、会社員まで、90名を超える方が参加しました。この記事では、そこで何を学んだのか、受講した方が何を感じたのかをお伝えします。
ビュテイコ呼吸法とは、どんな呼吸法なのか
ビュテイコ呼吸法は、旧ソ連の医師コンスタンチン・ビュテイコが1950年代にまとめた呼吸のトレーニング法です。
その後オーストラリアやイギリスに広まり、現在は世界55カ国以上で3,000人を超える認定インストラクターが活動しています。[1]
日本ではまだあまり知られていませんが、「鼻呼吸」「いびき防止テープ」といった言葉なら、どこかで聞いたことがあるかもしれません。それらのもとになっている考え方が、このビュテイコ呼吸法です。



深呼吸を手放す、という考え方
呼吸法と聞くと、多くの人は「深く、大きく吸う」ことを思い浮かべます。
しかし、ビュテイコ呼吸法が練習するのは、その逆の方向です。
呼吸が速く、量が多い状態が続くと、体の中の二酸化炭素が必要以上に外へ出てしまいます。
二酸化炭素は「いらないもの」と思われがちですが、体にとって必要な働きもしています。
血液から全身の細胞へ酸素を渡すときにも、脳の血管の状態にも、二酸化炭素は関わっています。
実際、呼吸をしすぎて血液中の二酸化炭素が下がりすぎると、脳の血管が細くなり、脳へ流れる血液がかえって減ることが指摘されています。医学の総説でも、この状態が続くことの影響が整理されています。[2]
つまり、たくさん吸えば酸素が行きわたる、という単純な話ではありません。
だからビュテイコ呼吸法では、深呼吸で呼吸を「増やす」のではなく、呼吸を「静かに整える」ことを練習します。
受講した理学療法士の方は、こう書いています。
「『いかに酸素を取り入れるか』という呼吸法が多い中、二酸化炭素耐性という視点は初めてでした」
自分の呼吸の状態を、数字で測り見える化する
この講座で最初に学ぶことのひとつが、コントロールポーズ(CP)という測定です。
息を静かに吐いたあと、鼻をつまんで、最初に「息をしたい」と感じるまでの秒数を数えます。
苦しくなるまで我慢する検査ではありません。あくまで、今の自分の呼吸の状態を知るための目安です。
この数字があることで、指導する側は「なんとなく良くなった」ではなく、変化を追いかけられるようになります。
感覚に頼らず、確認しながら進められる。これが、この体系の大きな特徴です。

日本語で学べる機会が、これまでありませんでした
ビュテイコ呼吸法そのものは、新しいものではありません。
にもかかわらず、日本ではこの体系がほとんど流通してきませんでした。
「鼻呼吸がいい」「口を閉じて寝るといい」といった断片的な情報は入ってきます。
けれど、その背景にある体の仕組みと、症状ごとの進め方、そして、気をつけなければいけない場面の線引きが、ひとつながりで学べる場がなかったのです。
これは海外のものを日本にもってくる、という言葉の壁だけの問題ではありません。
呼吸の指導は、本を読めば身につくものではないからです。
相手の呼吸を観る。CPを測る。その人の状態に合わせて、どの練習をどのぐらいの頻度で行うかを設計する。
この判断は、実際に人と向き合いながらでないと身につきません。
だからこそ、日本語で、対面で、3日間かけて伝えることに意味がありました。



呼吸科学アカデミーの学びと、どうつながるのか
呼吸科学アカデミーで扱っているのは、呼吸を読み解くための科学です。
・二酸化炭素の役割
・鼻の働きと一酸化窒素
・横隔膜と呼吸筋
・自律神経と心の状態。
これは「自分の呼吸に何が起きているのかを、自分で説明できるようになる」ための土台です。
ビュテイコ呼吸法の講座が担うのは、その次の段階です。
目の前の誰かの不調に対して、呼吸からサポートするための科学的な体系を学びます。
言いかえると、アカデミーが「自分が変わる」ための学びだとすれば、ビュテイコ呼吸法の国際資格は「人に伝える」ためのスタートラインとなる資格です。
土台となる科学は共通しています。違うのは、どこまで使えるようにするかという範囲です。
3日間で学んだこと
講座は朝から夕方まで、3日間で約24時間。会場とオンラインの同時開催で行いました。
1日目|呼吸の生理学
二酸化炭素の働き、呼吸が多くなりすぎる状態、鼻の機能と一酸化窒素。
午後はCPの測定、鼻づまりをやわらげる練習、呼吸を静かにする練習を実際に行い、最後はペアになって評価の実習をしました。
理論を聞いて、自分の体で確かめる。この順番を一日のなかで何度も繰り返す構成です。
2日目|症状別の応用
女性の呼吸、喘息などの呼吸器の悩み、いびきと睡眠中の呼吸、不安や動悸。
それぞれについて、配布資料を使った実習と実技をセットで行いました。
3日目|子どもへの指導と、安全に伝えるために
子どもの口呼吸と顔の発達、子ども・10代への伝え方、両親・保護者への指導の進め方。
そして、してはいけない場面(禁忌)の確認に時間を取りました。
受講した方のひとりは、こう書いています。
「莫大な情報量ではありましたが、抑えるところはしっかり3日間に収めていただき、自信を持ってアドバイスできます」
実際に受講した方の感想は?
修了後のアンケートでは、コースの構成・教材ともに83%の方が「満足」と回答しました。
「友人・同僚に勧めたい」の平均は、5点満点で4.3点でした。
数字よりも伝わるのは、自由記述のほうかもしれません。
「呼吸の生理学を定量的かつエビデンスに基づいて学べました。ヨガの呼吸法で経験的に感じていたことが、生理学的な視点から理解でき、『なぜそうなるのか』が腑に落ちました」(ヨガ指導者)
「言語や思考からの脳へのアプローチが難しいクライアントさんに、呼吸法でのアプローチが可能になることがとても有難いです」(助産師・整体)
「カウンセリングやアーユルヴェーダでは答えのなかった『どうして?』に、科学的な答えをもらえました」(心理カウンセラー)
「専門知識を持たない私でも理解でき、実践に移せるように構成されている点に大きな価値を感じました」(心理カウンセラー・医療系の資格なし)
声に共通していた3つのこと
寄せられた感想を読み返すと、同じテーマが何度も出てきました。
1. 「なぜそうなるのか」が分かった
いちばん多かったのが、この言葉でした。
感覚で語られてきた呼吸を、体の仕組みとして説明できるようになった。
人に伝える立場の方にとって、これは大きな変化だったようです。
2. 体験する時間が多かった
「ワークが多く、実際に体験して変化を感じられた」という声が複数ありました。
聞くだけでは、呼吸の変化は分かりません。自分の体で起きたことは、そのまま指導の材料になります。
3. 受講中から、自分に変化があった
「すでに睡眠の質が変わった」「朝の目覚めが良い」「受講後、咳が軽くなりました」。
3日間のあいだに、自分自身の変化を感じたという報告がいくつもありました。
人に教える技術を学びに来て、まず自分が変わって帰る。呼吸の講座では、これがよく起こります。
なお、体の変化の感じ方には個人差があります。持病のある方や治療中の方は、自己判断だけで進めず、主治医に相談しながら取り組むことが大切です。
呼吸を、仕事の中で使えるようにするために
参加された方の職種は、本当にさまざまでした。
理学療法士、看護師、歯科衛生士、助産師、心理カウンセラー、社会福祉士、臨床工学技士、ヨガ・ピラティス指導者、パーソナルトレーナー。
医療の資格を持たない会社員の方もいました。
共通していたのは、「呼吸が大事なのは分かっている。でも、根拠を持って伝えられない」という感覚です。
呼吸は、誰もが毎日続けているものです。
だからこそ、正しく知り、安全に伝えられる人が増えることには意味があります。
50歳で資格を取り直したという社会福祉士の方は、こう書いていました。
「呼吸の習慣やクセを直すことで、脳に呼吸を減らすことを覚えてもらう。回復のカギが脳であることに、改めて衝撃を受けました」
呼吸を科学として扱える指導者は、日本にはまだ足りていません。今回の受講生は、その最初の層です。
米国脳神経科学研究者 臨床心理士・公認心理師 アキ先生, PhD
参考文献
1. Buteyko Clinic International 公式サイト(認定インストラクターの活動国数・人数). https://buteykoclinic.com/
2. Laffey JG, Kavanagh BP (2002). Hypocapnia. New England Journal of Medicine, 347(1), 43-53. https://doi.org/10.1056/NEJMra012457
3. Courtney R, Cohen M (2008). Investigating the claims of Konstantin Buteyko, M.D., Ph.D.: the relationship of breath holding time to end tidal CO2 and other proposed measures of dysfunctional breathing. Journal of Alternative and Complementary Medicine, 14(2), 115-123. https://doi.org/10.1089/acm.2007.7204
4. Bowler SD, Green A, Mitchell CA (1998). Buteyko breathing techniques in asthma: a blinded randomised controlled trial. Medical Journal of Australia, 169(11-12), 575-578. https://doi.org/10.5694/j.1326-5377.1998.tb123422.x
5. Cowie RL, Conley DP, Underwood MF, Reader PG (2008). A randomised controlled trial of the Buteyko technique as an adjunct to conventional management of asthma. Respiratory Medicine, 102(5), 726-732. https://doi.org/10.1016/j.rmed.2007.12.012

ビュテイコ呼吸法の講座についてよくある質問
ビュテイコ呼吸法は、深呼吸とは違うのですか?
違います。深く大きく吸うことを目指すのではなく、呼吸を静かに、少なくしていく方向で練習します。
呼吸が多すぎる状態が続くと、体の中の二酸化炭素が減りすぎることがあるためです。
二酸化炭素が下がりすぎた状態では、脳の血管が収縮して血流が減るなどの変化が起こることが、医学誌の総説にまとめられています(Laffey & Kavanagh, 2002, New England Journal of Medicine)。[2]
医療の資格がなくても受講できますか?
できます。今回も、医療系のバックグラウンドを持たない方が複数参加されました。専門知識がなくても順を追って理解できるよう、講座は初歩から組み立てられています。
コントロールポーズ(CP)とは何ですか?
静かに息を吐いたあと、最初に「息をしたい」と感じるまでの秒数を測る目安です。限界まで我慢するものではありません。今の呼吸の状態を知り、変化を確認するために使います。
ただし、CPの秒数が体内の二酸化炭素の値をそのまま表すわけではありません。両者の関係を検証した研究では、息止めの時間から安静時の二酸化炭素の値を予測することはできなかったと報告されています(Courtney & Cohen, 2008, Journal of Alternative and Complementary Medicine)。[3]
検査の数値ではなく、その人の変化を追うための目安として使うもの。講座でも、そのように扱っています。
3日間で本当に身につくのでしょうか?
3日間は約14時間の集中講座で、理論と実技を交互に行います。3日間の集中講座の後に、修了試験のほか、実習課題を提出していただきます。
開催時期によっては、2時間×7日間の集中講座で実施する回もございます。修了後も学習サイトの教材で復習できる構成です。
喘息や睡眠時無呼吸がある人も学べますか?
講座では呼吸器の悩みや睡眠中の呼吸についても扱います。ただし、治療の代わりになるものではありません。
喘息の方39名を対象にしたランダム化比較試験では、ビュテイコ呼吸法を行った群で発作止めの薬の使用が減った一方、肺機能の数値(PEF・FEV1)そのものは、どちらの群でも変わりませんでした(Bowler et al., 1998, Medical Journal of Australia)。[4]
129名を対象にした別の試験でも、通常の治療に「上乗せする」方法として検討され、吸入ステロイドの使用量が対照群より減ったと報告されています(Cowie et al., 2008, Respiratory Medicine)。[5]
つまり、薬をやめるための方法ではありません。診断や治療が必要な症状がある場合は、必ず医療機関に相談し、主治医と相談しながら取り組んでください。
次の開催を待たないと受講できませんか?
いいえ。2026年7月に実施した3日間の集中講座は、講義の内容をそのまま収録しており、動画での受講が可能です。
次回の対面開催を待つことなく、ご自身のタイミングで学習をスタートできます。実技のセッションも含め、納得いくまで繰り返し見返せるのが動画受講の利点です。
実際の講義の雰囲気や進め方については、映像をご覧いただくのが最も分かりやすいはずです。まずはお問い合わせください。
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