「気のせい」と言われた息苦しさの理由|息詰まりと呼吸への理解が変わった受講生インタビュー
SpO2は100。
SpO2とは、血液中の酸素の状態を示す数値のことです。
数値は正常。
それなのに、胸が詰まるような息苦しさがずっと続く——。
高橋りおさんは、何年ものあいだこの矛盾を抱え、複数の医療機関を受診してきました。検査では大きな異常が見つからず、「気のせい」と言われ、心療内科へつながれたこともあります。
喘息、過敏性腸症候群、慢性的な息詰まり。
いくつもの不調が重なる中で、りおさんが知りたかったのは、「この苦しさは本当に気のせいなのか」ということでした。
その疑問に、呼吸科学の視点がひとつの答えを示してくれました。
受講者 高橋りおさん
慢性的な息詰まり、喘息、過敏性腸症候群を抱え、複数の医療機関を受診してきた経緯を持つ。
SpO2などの数値は正常にもかかわらず、息苦しさや胸の詰まり感が続き、「気のせい」と言われた経験がある。
呼吸科学アカデミーで「CO2(二酸化炭素)耐性」という概念に出会い、自分の呼吸の土台づくりに本格的に取り組み始める。
数値では説明できなかった息苦しさ
りおさんが抱えていた苦しさは、検査結果だけでは説明しきれないものでした。
呼吸はできている。
酸素の数値も問題ない。
それでも、胸の奥が詰まるような感覚が消えない。
「苦しい」と伝えても、数値に異常がなければ、それ以上深く見てもらえない。
そのたびに、りおさんの中には「では、この苦しさは何なのか」という疑問だけが残っていきました。
SpO2が正常でも「苦しくない」とは限らない
SpO2は、血液中の酸素の状態を見るための大切な指標です。けれど、SpO2が正常だからといって、その人が感じている息苦しさまで否定できるわけではありません。
りおさんの場合、数値は一見、正常でした。
それでも、胸の奥が詰まるような息苦しさや、呼吸がうまく入らない感覚は続いていました。
数値としては問題がない。
けれど、本人の体感としては明らかに苦しい。
このずれが、りおさんを長く悩ませてきました。
喘息・過敏性腸症候群・慢性的な息詰まりが重なっていた
りおさんの不調は、息苦しさだけではありませんでした。
喘息、過敏性腸症候群、慢性的な息詰まり。
症状はいくつも重なっているのに、それらがひとつの線でつながっているとは思えませんでした。
けれど、呼吸科学アカデミーの講義で出会った「CO2耐性」という考え方が、その見えなかった線をつないでいきます
「CO2耐性」という概念が、息詰まりの理由を見せてくれた
りおさんにとって転機になったのは、呼吸科学アカデミーの講義で出てきた「CO2耐性」という考え方でした。
それまで、呼吸といえば「酸素を吸えているかどうか」が中心でした。けれど講義を通して、息苦しさには酸素だけではなく、CO2への反応も関わる可能性があると知ります。
CO2(二酸化炭素)への反応が、息苦しさに関係することがある
CO2とは、二酸化炭素のことです。
呼吸というと、酸素を吸うことに意識が向きがちです。けれど、息苦しさには、CO2への反応も関係していることがあります。
慢性的に呼吸量が多い状態が続くと、体の中のCO2が低い状態に傾きやすくなります。すると体は、その低いCO2濃度を「いつもの状態」として覚えてしまうことがあります。
その結果、少しCO2が上がっただけでも、体が敏感に反応し、「息苦しい」「胸が詰まる」「呼吸がうまく入らない」と感じやすくなる。
つまり、酸素の数値が正常でも、呼吸が楽とは限らないのです。
「気のせい」ではなく、呼吸の仕組みとして見えてきた
りおさんが長年感じていた息詰まりは、このCO2への過敏さとして説明できる可能性がありました。
講義を聞いたりおさんは、すぐにアキ先生へメッセージを送りました。
「わたしの『詰まる感じ』は、CO2の揺れに動じやすくなっていたということ?
スポンジの幅が狭くなっていたから?」
返ってきた答えは、はっきりしていました。
「おっしゃる通りですよ!」
この一言で、りおさんの中にあった長年の違和感がほどけていきました。
「気のせい」ではなかった。
呼吸の仕組みとして、説明できる可能性があったのです。
薄くなったスポンジの弾力性を取り戻す
CO2耐性の話を聞いたことで、りおさんは自分の息苦しさを「ただの不調」ではなく、呼吸の調整の問題として捉え直せるようになりました。
その理解をさらに深めるために、アキ先生が使ったのが「スポンジの弾力性」という表現でした。
CO2耐性を育てるとは、呼吸の余白を取り戻すこと
アキ先生は、りおさんの状態を「スポンジの弾力性」という言葉で説明しました。
本来、体にはCO2の変化を受け止める余裕があります。
けれど、その余裕が少なくなると、わずかな変化にも敏感に反応しやすくなります。
スポンジに厚みがあれば、少し押されても受け止められる。
でも、スポンジが薄くなっていると、少しの刺激でも大きく反応してしまう。
りおさんの息苦しさや息詰まりは、まさにこの「呼吸の余白」が少なくなった状態として捉えることができました。
呼吸の調整がずれた状態から、少しずつ整えていく
アキ先生はさらに、こう表現しました。
「サーモスタットがうまく効いていないエアコンみたいに、冷えすぎたり、冷えなさすぎたりを繰り返している状態です」
りおさんの体は、壊れていたわけではありません。
呼吸の調整が、ずれた状態で固定されていた可能性があったのです。
だからこそ、やるべきことも見えてきました。
CO2耐性を育て、薄くなっていたスポンジの弾力性を少しずつ取り戻していくこと。
その可能性が見えたとき、りおさんは「やる気が出た」と話します。
不調のドミノが、呼吸につながっていた
りおさんが呼吸科学アカデミーに入ったのは、最初から改善を目的にしていたわけではありませんでした。
それでも講義を重ねるうちに、自分の不調の数々が呼吸という土台につながっていることに気づいていきます。
息苦しさ。
メンタルの不安定さ。
お腹の不調。
慢性的な痛みの敏感さ。
これまで別々の問題だと思っていたものが、呼吸を通して一本の線でつながっていく。
それは、りおさんにとって予想外の発見でした。
息苦しさ・メンタル・お腹の不調が一本の線でつながる
りおさんは、息苦しさだけを単独の症状として見ていたわけではありません。
メンタルの不安定さ、お腹の不調、慢性的な痛みの敏感さ。
それぞれ別々に起きているように見えた不調が、呼吸という土台から見直すことで、ひとつの流れとして見えてきました。
「全部呼吸が関係していたんだ」という気づきは、りおさんにとって思いがけないものでした。
呼吸の土台が変わると、感覚の過敏さにも変化が起こるかもしれない
「痛いと感じるセンサーが慢性化しすぎて敏感になりすぎているのも、呼吸の土台が変わったら変化していきそう、と感じています」
アキ先生も、こう応じました。
「チャレンジングですが、まさにりおさんだけのBefore Afterストーリーになるように、ぜひ試行錯誤を続けてみてください」
呼吸は、ただ酸素を吸うためだけのものではありません。
自律神経、感覚の過敏さ、気分、内臓の働きにも関わっています。
だからこそ、息苦しさや息詰まりを「気のせい」で終わらせてしまうと、本当に見るべき土台を見逃してしまうことがあります。
呼吸が変われば、ご機嫌な時間が増える
呼吸の仕組みを学んだことで、りおさんの中には「何をすればよいのか」という方向性が生まれていきました。
息苦しさの理由が見えたからこそ、ただ不安に耐えるのではなく、呼吸の土台を整えていくという選択肢が見えてきたのです。
息苦しさの理由が見えたことで、取り組む方向が明確になった
「鼻や呼吸が改善したら、ご機嫌な時間が増えて、すごい生きやすくなりそうです」
りおさんがそう話すとき、それは単なる希望ではありません。
自分の苦しさに理由があるとわかった人の、静かな確信に近い言葉でした。
長年「気のせい」と言われ続けた息苦しさに、呼吸科学の視点から説明が与えられた。
やるべきことが見えた。
あとは、薄くなっていたスポンジの弾力性を少しずつ取り戻していくこと。
りおさんは今、そのスタートラインに立っています。
「気のせい」は終わった|アキ先生より
りおさんのストーリーは、現代医療の中で見過ごされやすい呼吸の盲点を映し出しています。
SpO2が正常でも苦しい。
検査では大きな異常が見つからない。
それでも、胸が詰まるような息苦しさが続く。
このような経験をしている方は、りおさんだけではないはずです。
SpO2が正常でも苦しい人に知ってほしい呼吸の盲点
呼吸を「酸素が足りているかどうか」だけで見ると、見落としてしまうものがあります。
CO2の調節、呼吸量、呼吸の浅さ、そしてCO2への耐性。
これらは、自律神経や感覚、気分、内臓機能とも深く関わっています。
りおさんが長年抱えてきた息苦しさや息詰まりは、気のせいではありませんでした。
呼吸の仕組みとして、説明できる可能性があったのです。
息苦しさに名前がつくことは、回復への第一歩
もちろん、呼吸の土台は一瞬で変わるものではありません。
スポンジの弾力性は、時間をかけて育てていくものです。
けれど、理由がわかれば、道が見えてきます。
道が見えれば、取り組むことができます。
りおさんのチャレンジは、まだ始まったばかりです。
でも、呼吸が変わるとき、体は少しずつ応えてくれます。
「気のせい」と言われ続けた息苦しさに、名前がつく。
それは、回復への第一歩です。
その過程を、これからも一緒に歩んでいきたいと思っています。
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